ドラム内成分の焼き切り
先月後半の1、2週間ほどの間、毎年恒例の、春先の焙煎の乱れに見舞われていました。
1年半前ごろから水分抜き、火力、排気の測り方などで大きな変化があり、クリーンさが進歩したため昨年の春にはあまり感じられなかったのですが、今年は来ました。
どのデータを見ても変化が分からず、頭を抱えていた時に、なんとなく焙煎機のメンテナンスについて調べていたところ、dry burnだとかburn outといった清掃法が目に入りました。豆を入れずに焙煎機を加熱し、庫内に残った油分やタール分を焼き切ってしまう、溶かし、蒸発させ、排出してしまうもので、これが不足していると煙が籠ったような重い味になるとのことです。
そんなことは予熱を作る時にいつもやっているよ、とも思ったのですが、ここ数ヶ月は日の初めの焙煎は少量の浅煎りから入ることがほとんどで、これは予熱、蓄熱が多い焙煎には不向きなので、温まり切らないうちからすぐに投入してしまっています。そして水抜きに自信がつき焙煎時間や焙煎初期の温度にこだわらない焙煎になってきたために、連続で焙煎する際も一つ前の焙煎でできた蓄熱を頼りにして、火力による予熱時間をあまり取らずに次に行っていました。
そうした焙煎を続けていて、春になり気温が上がってくると、予熱の途中に黒い油分が排出口からわずかに滴ることがあり、これはどうもおかしいと思いながらも、意識に外に行ってしまっていたようです。
深煎りの焙煎をすれば庫内は200℃には達するはずで、それで焼き切れないものは他の処理をしても取り除けないだろうということであまり気にしないようにしていたのですが、調べていくとそのメンテナンスのやり方は深煎りの焙煎の最終局面と同じぐらいの温度で10分以上続けるというもの。それなら確かに、その高温を維持している時間がかなり短い焙煎環境を何ヶ月も続けていたことになります。
それではと試してみたら、確かに10分近く経ったあたりから油やタールを焼いたような煙が漏れ出すではありませんか。高すぎる温度と長すぎる時間は危険なので、しっかりと数字は守りながら行いますが、この温度帯と時間の長さは、最近の焙煎と予熱では確かに足りていなかったところで、それ以前でもあまり重要視していなかったために、わずかに届いていなかったように思います。
この処理の後、いつもどおりの焙煎をすると見事に改善。
おそらく気温の低い冬場にこれらが固まって蓄積し、春になって溶け出して伸びやすくなり、焙煎豆の風味に移りやすくなってしまっていたのではないかと推測しています。
焙煎において昔から金科玉条のように言われてきた、時間をじっくり長くかけて焙煎機を予熱し全体を入念に温めるという手順は、ある種の形骸化したルーティーンであって、応用が進めば必須ではないと思い込んでいたのですが、今思えばこれが強力なメンテナンスも兼ねていたということになります。やはり優れた方法といわれるものには理由があったのです。
この方法は日本語で訳すと「空焚き」となりますが、これだと危険な事故の原因のような響きに聞こえかねないので、ドライバーンだとかバーンアウトといった横文字で呼ぶようにしています。
