イエメン
モカの生産国イエメンの情勢は依然として混迷を極めていますが、日本に輸入されるコーヒーに関しては数年前よりも少しづつラインナップが増えてきているようです。関係者の方たちの懸命な努力の成果ですが、風味の傾向も少し変化してきているように思えます。
もちろんイエメンですから基本的なモカ香は大きくは変わらないのですが、独特のドライフルーツ、ピーチフレーバーはやや大人しくなり、エチオピアと同じく濃度の高いベリー系の方向に寄ってきているように感じます。透明感が増して酸も綺麗になっており、間違いなくカッピングのスコアは上がっているでしょう。かつては少しくすんだような感じと、淡い白ワインのような飲みやすさがあり、エチオピアよりもコスタリカやドミニカ、ホンジュラスに近いちょうどいい密度の薄さがあったのですが、キリッと締まってきた感じです。
日本で活躍しているあるイエメンコーヒー企業の社長さんに話を伺ってみたところ、かつてのモカマタリNo9の欠点豆の多さ、精製のまずさを今でも苦々しく思っているようで、おそらくスペシャルティコーヒー基準の隙のない風味造りを目指しているのが基本的な姿勢のようです。いくつかの銘柄を試してみたのですが、どれもハイレベルながら、昔のモカの臭みといいますか、スパイシー感は弱くなっているように感じました。ラウンドマウスフィールがシャープになり、フレーバーの強さよりも甘みや酸の質重視になってきていて、すっかり優等生になった印象です。
不満のようなことばかりが続きましたが、あのモカがレベルアップして蘇ってきてくれた感動の方がずっと強く、この路線は決して悪いとは思いません。マンデリンやケニアの交配種に見られたような、あの眉をひそめるような別物感ではありませんし、価格帯や品種によっても確かな違いが見られ、むしろ以前よりも楽しみが増えたかもしれません。
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モカマタリ・アルマッカ。
パーストクロップではありますが、これでハンドピックしていない状態。
かつて30%が欠点として弾かれていたものとは思えないほどの綺麗さです。
