湿度と火力

ここ2、3週間ほど、豆に弱い渋みがのるようになり、原因を考察していました。

味の傾向から焙煎の後半のカロリー不足である、ということに気づくのに時間がかかってしまったこともありますが、同じ設定火力であるにも関わらずなぜそうなったのかを判断出来なかったので、単に火力を上げるという対策に踏み切れず半月経ってしまいました。

排気が変化したから上昇しづらくなっているのか、豆の水分が多くなっていて上がりにくくなっているのか、ならば高火力はリスキーか、などと考え色々試してみたのですが、一向に良くならず、最後に単純に火力を上げてみたところ、てきめんに改善しました。

気温が上がってくるこの時期にカロリー不足がなぜ起こるのか。様々なデータを検証してみたところ、どうも湿度が怪しいということに。しかもその湿度は気温によって変化する相対湿度ではなく、絶対湿度のことです。

空気は温度によって含まれる水分が飽和する量の上限が上がります。40gの水分量で上限が80gなら湿度は50%、同じ40gの水分量のまま気温を高くし上限が120gになれば33%になります。普段天気予報で湿度といえばこの相対湿度のことです。しかもこの上限は、温度が10℃、20℃上がると2倍、3倍となるような変化量です。

つまり、夏は冬と比べて観測どおりの相対湿度でも1・5倍ほど高いのに、それは3倍以上も高い上限から見た湿度なので、実際の絶対湿度、空気中の水分の単純な量は5倍以上多いということになります。

この湿度の中、燃焼させ続ける火は水分を蒸発させるのにエネルギーを取られてしまって、同じガス圧でも火力が落ちるというものです。

去年の夏に水分抜きの進歩があり、その際に焙煎プロファイルの変更があったのですが、その後、この後半に急ぐ焙煎がカロリー過多になってしまっていた時期があり、これの火力を抑えて上手くいっていたのですが、思い返せばそれは冬になってからでした。その冬用焙煎が全ての基本になる適正火力だと思い込んだまま梅雨を迎えてしまったようです。季節ごとに対応できる新プロファイルを完成させるのに、やはり一年かかったということです。