マラウイの焙煎
優れた品質のコーヒー生産国でありながら名前を聞いたこともないとよく言われる国があります。ブラジルやコロンビアのような代表的なコーヒー生産国もあれば、インドやメキシコのように親しみはあるけれどコーヒーのイメージがあまり無かったという国、エルサルバドルやホンジュラスのように名前は知っているけれど詳しくは知らない国など、それぞれ一般的に認知度、距離のようなものが存在しますが、名前を聞いて国名とすら思ってもらえない国としてブルンジとマラウイがあります。
ルワンダやコンゴのように戦乱によって有名になってしまった国もありますが、西、中央アフリカの国々はまだ日本にとってかなり遠い存在になっているのが現状です。コーヒーが知るきっかけの一つになれば嬉しく思います。
ブルンジはスペシャルティコーヒーとして高い評価を受ける国の一つで、ロースターとしても既に馴染み深い銘柄ですが、先日マラウイが久しぶりに手に入ったのでテスト焙煎してみました。
小粒で身が締まり、なんとなく不揃いな印象。エチオピアにも似ているかもしれませんが、生豆ではフルーティーな香りはあまりありません。アフリカの中では最南端の産地の一つで、コーヒーベルトの端で生産された豆は個性が丸くなるという傾向がこれにも当てはまりそうです。
深煎りにも浅煎りにも向きますが、深煎りでもきれいな酸が損なわれず、複雑な風味を出してくれるのでフルシティあたりで固めてみます。チョコレートのような甘味と花のような風味を共存させられる素晴らしいバランスです。
それにしても派手なナチュラルでもグレードが特別高いわけでもない豆なのに、深煎りでこのジャスミンのような味が保てるのは何故なのだろうと豆のデータを調べてみると、なんとゲイシャ種が混合させられているではありませんか。かなりたくさんの品種のブレンドなので、何割にも満たない率でしょうが、ほのかにですが確かにゲイシャらしい風味があります。生豆が不揃いなのも、複数品種の中に大粒のゲイシャ種が混ざっているからでしょう。
もう15年も前になりますが、当時使っていたマラウイの名前が確か「マラウイ・ゲイシャ・ヴィフヤ」
まだゲイシャ種についてほとんど知らない時期だったのですが、変な名前だなということで呪文のように記憶していました。パナマゲイシャやコロンビアゲイシャを取り扱うようになっても、マラウイの名前とは結び付かず、今になってようやく繋がるという、記憶のいい加減さを再確認した次第であります。