ルワンダの焙煎

スペシャルティコーヒーとして頻繁に見かけるようになったルワンダコーヒー。日本人にとってはルワンダといえば90年代の惨禍のイメージが強く、ルワンダが高品質コーヒーを生み出せるのはその破局からの再生、再建によるフレッシュさからくる面もあり、奇跡の経済復興の後も、もの悲しさは拭い切れません。

ただ、「千の丘の国」と呼ばれるように自然環境としてはコーヒー生産に最適な国でもあり、その技術や姿勢もクオリティー重視の方針で、ルワンダのスペシャルティにはハズレがないと思えるほど信頼できるものです。エチオピアのイルガチェフェ地区やグァテマラのウエウエテナンゴ、ゲイシャ種など、スペシャルティの時代の申し子のような農園や品種がありますが、ルワンダはルワンダ国のコーヒー自体がスペシャルティの権化と言えるかもしれません。

ルワンダ・ニャルシザウォッシングステーションのウォッシュト

ケニアやタンザニアほど肉厚ではなく、エチオピアほど小ぶりでもない中庸なサイズ。粒も揃っていてとても綺麗な豆なのですが、焙煎するとその気難しい本性をあらわにします。

豆はそこまで硬くなく、後半に時間をかけすぎると酸が弱くなりやすい浅煎り向きの豆でありながら、どこまでも焙煎を進めてもシワが残っているタイプで、色での判断がしづらいです。ハゼなどの音の反応は普通なので、この辺りだろうなという予測を頼りに煎り止めをする感じで、どこかゲイシャ種にも似たややこしさがあります。焙煎後の日ごとの変化も大きく、総合的に扱いは難しいように感じます。

風味の特徴は、「フルーティーで発酵感が少ない」でしょう。これはアフリカのウォッシュトに共通した個性でもありますが、ケニアやタンザニアは深煎りにしたくなるような収斂味があり、エチオピアは果実感が強く、ウォッシュトでも酒類を思わせるような派手さがあります。ルワンダにはキツさがなく、爽やかで洗練された風味があり、どこか紅茶に近いものがあります。紅茶感といえばボリビアにも似ていますが、ボリビアの方がより「茶葉」感が強く、ライムのニュアンスがあるルワンダはレモンティーに例えられるでしょうか。

ニカラグアもそうでしたが、酸味が苦手な人の浅煎りの入門としておすすめのコーヒーです。