エクアドルの焙煎

エクアドルのコーヒーが新しく入荷しました。

エクアドルといえば、味が淡白で飲みやすい、主張のない豆として、浅煎りのブレンド向きであり、90年代に起こったサビ病の被害によって生産量の縮小を続けてきたこともあって、近年まではあまり主役にはなりませんでした。

ハイチやキューバ、ジャマイカと同じく、スペシャルティの流れにいまひとつ乗りきれていないように見えた国の一つでもあり、しばらく取り扱いを停止していたロースターの方も多かったと思います。しかしながら、ここ数年で飛躍的にラインナップが増え、優良なスペシャルティコーヒーが頭角を現してきました。国内のコーヒーの危機的な状況を打破しようと、文字通りまいてきた種がやや遅れながらも芽吹いてきたということでしょう。

スペシャルティの時代のエクアドルということで意気込みと懐かしさを感じながら焙煎してみたところ、個性の大きな変化に驚きました。その色の付き方は高地産のコロンビアなどと同じく、シワがなかなか伸びず、浅く煎り止めるのがためらわれるほどの赤黒さです。明るい黄色を放っていたかつてのエクアドルとは別物にしか見えません。

エクアドル サン・フランシスコ農園のウォッシュト

カップテストしてみたことろ、これまた非常に面白い個性になっていました。焙煎時の印象どおりの風味ではありますが、昔のエクアドルのナッツ感が高地産の酸と「混ざり合って」表現しがたい質感に。ドミニカのようにナッツ感とフルーティーさが組み合わされ別々に感じられる個性は他にもありましたが、エクアドルのスペシャルティは融合して新しい味に変化していました。変な例えかもしれませんが、赤土のような香気といいますか、柿やビワのようなしっとりとした風味に感じ取れました。

コロンビアのウィラやケニアのニエリなどと同じく、クオリティの上昇とともに別のイメージへと変化した銘柄になっているようです。