ニカラグアの焙煎

スペシャルティコーヒーの中枢である中米の中では日本における知名度やイメージが薄めのニカラグアですが、そのクオリティはやはり世界の先端であり、生産量も多いです。ブルボンやカトゥーラ、パカマラやジャバニカといった様々な品種が扱われており、ウォッシュトやナチュラル、パルプドナチュラルと生産処理法も幅広い印象です。標高によって格付けされますが、高い場所で作られた豆もそれほど硬度や水分は感じさせない、温厚そうな見た目となっています。

エル・ススピロ農園産のパルプドナチュラル

焙煎中の色のつき方が素直で、常に明るい色を維持しながら進んでいくので分かりやすいです。同じくシワが目立たず、見やすいドミニカと比べても酸味が失われるタイミングにシビアさがありません。中煎り以上にはあまり向きませんが、焙煎は易しい部類だと思います。

風味特性としては、ボディの強いジューシーな浅煎り系、といった感じでしょうか。高地産のような濃度はそれほどないのですが、どこかどっしりとした量感がある。それが豊かな酸と合わさると、ジュースのような飲みごたえのある果実感となります。人によっては果物の皮のような軽い渋味ともとれる、クリーンさを阻害しない優しい濁りとも言えるような質感があり、これはどの生産処理でも共通しているようです。

爽やかな浅煎りが持ち味のサードウェーブ系のお店では主役の一人であることが多く、きつい酸味を和らげるコクも持ち合わせていますので、酸味が苦手だった人の浅煎りの入り口としてはこのニカラグアがおすすめです。