グァテマラのウォッシュト

数年前にグァテマラのナチュラルの香気に衝撃を受けて以来、グァテマラのウォッシュトの焙煎からしばらく遠ざかっていましたが、ナチュラルはやや個性が強すぎてストレート向きだと感じて、ブレンド用としてウォッシュトを再開することにしました。

グァテマラコーヒーの主役の一つであるアンティグア地区、サン・セバスティアン農園の産。生豆の包装を開けてみると、カカオのような香りがふわっと広がり、ナチュラルとは大きく違う個性を感じさせます。エチオピアのようにもともとフルーティーな豆はウォッシュトでもナチュラルでも割と近い個性が出ますが、グァテマラはかなり別物に変化するようです。

焙煎した手応えは、ブラジルのウォッシュトに近いものがありました。シワがいつまでも消えず、常に黒ずんでいるように見えるので、排気を強めるタイミングが分かりづらいです。ナチュラルに目が慣れたせいなのか、他の国のウォッシュトと比べても水分の抜けが悪いように感じてしまいます。

コロンビアやマンデリンなどは、どちらかといえばオーバーローストに弱く、シワが消えるタイミングを見計らって少し浅めを狙うことで上手くいくことが多いのですが、グァテマラウォッシュトは逆に深めの方向にポイントがあり、少しでも浅めに終えると渋みが出てきてしまいます。ゲイシャ種をはじめシワをのばしきらない方が良い豆は増えてきましたが、これはしっかりと伸ばした方が良いようです。深めを狙うとはいってもグァテマラの許容範囲は狭く、シビアな煎り止めを要求されます。

ベストポイントに当てることができたグァテマラウォッシュトにはココアのような独特のボディがあり、フレーバーの強さに頼らない太い甘みがあります。かつてブラジルやコロンビアがメインだった日本のコーヒーに中深煎りの迫力を広めたあのグァテマラの記憶が蘇ります。ゲイシャやナチュラルの華やかさから一歩距離を置きたい時には一番欲しくなる風味かもしれません。


             ウォッシュト     ナチュラル