ゲイシャ種と生産地

コロンビアのゲイシャ種が入荷しましたので焙煎に挑戦しました。

生豆としてはゲイシャの細長い形質がありながらも特徴的とまでは言えず、コロンビアの色の青さと厚みを備えた標準的な外観。中火で始めましたが、焙煎の進みが早く、温度は194℃の時点ですでに写真の真ん中、シティローストのような光沢があり、187℃であげても左のような中煎り寄りのハイローストぐらいの色付き方。

結果としては、ゲイシャらしい個性を備えながらも、パナマのゲイシャのような強烈さは無く、スペシャルティのボリビアやルワンダのような華やかでティーライクな、大人しめの優良品種といった感じです。

コロンビアの高地産らしい芯の硬さのようなものも確かにあり、あまり浅煎りを狙うと渋みが出る恐れがあり、それでいて中煎り程度までいくと華やかさがあっという間に消えてしまうゲイシャらしさも備えているので、煎り止めが難しいというよりもベストな点が無い、というような印象を受けました。

以前、エチオピアのゲイシャも焙煎したことがあるのですが、ゲイシャらしい「ウーロン茶」感がありながらも強いフレーバーとまではいかず、トップスペシャルティの他品種のナチュラルの方がはるかに個性が強いといえます。ゲイシャはパナマの特権というわけではないと思いますが、土地のテロワールとゲイシャ種の個性が相殺し合ってしまうという面はあるように感じます。

近年ではフレーバーの強烈さは様々な品種や生産処理で生み出すことが可能になってきていますので、ゲイシャ種も今後は突出した存在ではなく、パカマラ種のような個性のある品種の一つ、という位置付けになっていくのではないでしょうか。ゲイシャ種がユニークで無二のキャラクターであることは間違いないので、ブルマンやハワイコナのようにあまりにも高い価格によっていつまでも希少な銘柄であり続けるのはもったいないと思います。