コーヒーのランクと味の傾向
フェアトレードや有機認証などによる付加価値だけではなく、カッピング(味の審査)によって点数を付けられるスペシャルティコーヒーは味の水準の高さが保証されており、点数だけで入荷する豆を決めるという焙煎士の方もいます。おいしさにランクが付けられるということに関しては少し疑問や抵抗を感じるという方も多いでしょう。国や銘柄などの個性や好みを探すことは何よりの楽しみであり、消費者側と生産者側が対等な関係になるために必要なシステムの一つだったとはいえ、点数の高低などはいったん別にして考えたいところでもあります。もちろん同点数の中でもその味の個性は星の数ほどあり、銘柄の組み合わせによる品揃えやブレンド、そして何より生豆の質以上に味の決定に占めるウェイトが大きい焙煎の存在を考慮すれば、ランクなど関係無く楽しみ方はさまざまです。
それでもあえてランクごとに分けるとすれば、次のような傾向になると思います。SCAやCOEなど評価する機関によって点数ラインや呼称が少し異なりますがだいたい同じです。
・コマーシャルコーヒー、コモディティコーヒー、メインストリームコーヒー
- 最も一般的なコーヒー。浅く煎っても酸味が弱く、やや暗い印象がある。香りではなくテイストがナッツに近く、少しスモーキー。
・プレミアムコーヒー
- 味の暗さが無くなり、豆の個性もはっきりしてくる。スペシャルティを飲み慣れた舌にとってはやや淡い印象があるものの、明確なテイストと軽さが両立している、十分高品質なコーヒー。
・スペシャルティコーヒー
- プレミアムまでと比べて味の「濃縮度」が明確に異なる。塩味(えんみ)ともチョコレートともとれるテイストの濃さが大きく増す。
・トップスペシャルティ、プレミアムスペシャルティ
- 透明感がさらに向上したことで、意外なことに焙煎したて、抽出したてのファーストインパクトでは一つ下のスペシャルティよりも少し弱くなった印象を受けることがある。綺麗すぎて、コーヒー液が熱いと捉えにくい風味がメインになってくる。しかし冷めていくにしたがって味の情報がどんどん増え、甘さ、明るさが後になるほど蓄積する。
・トップオブトップ、スーパープレミアムスペシャルティ、特別称号コーヒー
- 花の香気が加わる。華やか、というよりも本当に花の弁の風味がしてくる。具体的には薔薇、ローズのニュアンスに寄ってくる。それにともなってシロップのようなまとわりつく重みのある甘さが出てくる。