ホンジュラスの焙煎
ホンジュラスのコーヒーというとそれほど馴染みがないかもしれませんが、スペシャルティコーヒー生産地域の中枢ともいえる中米の一員であり、生産量は世界6位。ブラジルやコロンビア、エチオピアなどのコーヒーの代名詞の国に次ぐ量と、世界トップクラスの質を誇ります。世界最上位ランクの品評会であるカップオブエクセレンスにおいて毎年90点を超える品が10点近く並ぶホンジュラスのレベルの高さは目を引きます。
これはナチュラルの生豆なので色々と皮などが付着していて一見あまり綺麗とはいえませんが、粒がよく揃っており、致命的な欠点豆はほぼ見当たりません。
高地産でありながら浅煎り向きの豆で、さらにナチュラルとなるとどうしても小さな煎りムラが出てしまいますが、試飲してみるとフルーツとチョコレートを混ぜたような不思議な風味。今回のエル・ロブラル農園のものはマスカットやメロンのような青い果実の印象がありました。
試しに焙煎が少し進んでしまった黒い豆と白い豆を分けてそれぞれをテストしてみたところ、チョコレート風味とフルーツ風味で見事に分かれました。通常、煎りムラは液の曇り、重さにつながってしまうのですが、これはむしろぶつからない二つの風味が溶け合っているような感じです。
見た目が汚くてやんちゃな豆面だった昔のモカは強いフレーバーを持っていましたが、このホンジュラスもどこか絶妙な配合で個性を発揮している面白い銘柄だと思います。