タンザニアの焙煎

キリマンジャロの名でも有名なタンザニアのコーヒーは強い酸味と豊かなボディがあり、ミルクと合わせたときのキャラメルのようなリッチな質感が特徴で、昔から日本でも親しまれてきました。アイスコーヒーにも適したその濃度と量感は、ケニアのAAと比較しても勝るとも劣らないほど豊かなものです。

青々とした大粒豆で丁寧に水抜きをしたいところですが、時間をかけすぎると持ち味の酸味が消えてしまう傾向があり、速さとムラの出ない均一な熱のかけ方が求められます。シワが消える煎り止めのポイントはシティ〜フルシティの間あたり、分かりやすい2ハゼがあるため難しくはないのですが、ダンパーによる圧力は正確に、熱も中火の中火でピタリと合わせて進めたいところです。

このように布を湿らせたようなしっとりとした色の付き方をする豆は強火や弱火をあれこれ使ってこねてしまうと味が重くなってしまいます。一定の中火でササっと通してやるとシャープな透明感が生まれますので、途中変更をなるべくしない、強すぎず弱すぎない焙煎の初期設定が特に大事です。

水抜き不足による味の重さは深煎り、ダークローストだとある程度和らげることもできますが、タンザニアのベストポイントはフルシティ手前、酸味をやや残すところにありますのでそういったごまかしも効きません。煎り止めこそシビアではないものの、総じて焙煎難易度は高い豆だと思います。