浅煎りの煎り止め
浅煎りの煎り止めは難しいです。正確なタイミングが要求される中深煎りのコロンビアとはまた違った難しさがあります。焙煎中、豆は音を立てるハゼが2回起こるのですが、中煎り以上では煎り止めが2ハゼの最中という分かりやすい合図があるのに対し、浅煎りは1ハゼと2ハゼの中間という手掛かりのない時間帯で判断しなければなりません。頼りになるのは温度ですが、それでも豆の内外の焙煎の進行度は微妙にズレますので、温度だけで味を完璧に再現することもできません。
写真は試験用のエルサルバドルの豆で、どちらも同じ火力で進め、同じ温度(191℃)で煎り止めたもの。右の方が明らかに浅く見えます。右は予熱を高めにして短時間で進めたもの、左は予熱低めの長時間のものになります。煎り止め温度が同じでも色付き方が異なることが分かります。1ハゼも左の方が7〜8℃ほど低い温度で起こります。テストしてみるとやはり右の方が酸味がずっと強い。温度でタイミングを取るには生豆の状態や鮮度、気温、予熱や火力など全ての条件が一律に揃わなければならないということです。
となると、最後に頼りになるのはやはり目です。同じ焙煎度の豆を作り続けるには色の判断が最重要であり、そのためには部屋の照明などをいつも同じにして、焙煎の終盤にはテストスプーンを何度も抜き差ししてのぞき込むような格好になります。耳と鼻を総動員するコロンビアなどの中深煎りよりも肩が凝るような焙煎を要求されるので、なるべく体調が良い日に浅煎りに挑戦するようにしています。