コロンビアの焙煎

世界のコーヒー生産において量と質ともにトップクラスのコロンビア。量でこそベトナムに追い抜かれましたが、スペシャルティコーヒーの取り組みにも積極的な世界を代表するコーヒー大国です。

ブラジルと並び最もポピュラーで安定供給されるコーヒー豆ですが、焙煎の難易度が高いことは意外と認知されていません。特に煎り止めがシビアで、シティローストからフルシティローストの境目に酸味系から苦味系に切り替わる瞬間があり、それが非常に短く、ほんの数秒で個性が変化してしまいます。強めの酸味が残ったまま焦げたような苦味が同時に現れて重なり合うような状態になるため、ベストポイントが小さいというよりは、どちらに寄せてもベターポイントで妥協するような感じに近いかもしれません。

渋味を取り除くために細かい黒シワが伸びるまで煎りこむことが基本ですが、中には伸び切ると風味が飛んでしまうものもあります。コロンビアもその一つで、シワが消える数秒手前あたりを狙たいところです。

スペシャルティが広まり品種や農園ごとの個性が際立つ時代になりはしましたが、コロンビアは何を焙煎しても難しく、やはり国ごとの個性というものが変わらないことを再確認させてくれるやりごたえのある相手だと思います。