ブラジルの浅煎り

コーヒ豆の焙煎においてマンデリンなら深め、キューバなら浅めといったようにそれぞれ個性に応じた焙煎度があります。これを逆にしてしまうとマンデリンは渋く、キューバはスカスカな味になります。まさに本来持っている味、持ち味が発揮されません。マンデリンなら中煎りと深煎りの間ぐらいで少し幅があり、コロンビアなら中深煎りのある点に正確に当てなければならないなどその許容範囲も異なります。

そのレンジが非常に広いのがブラジルで、浅く煎り止めても欠点のある味が出ず、深煎りでもチョコレート系のコクを失わない懐の深さがあります。個性も強くなく調整役としても優秀。ブレンドと呼ばれるものにはたいていブラジルが入っています。生産量だけでなく汎用性においても世界一なのかもしれません。

煎り止めに緊張を強いられることはあまりないものの、難しいのはやはり浅煎りでしょうか。生豆のストレートな個性が出やすい浅煎りでは、ブラジルのバランスの良さがかえって爽やかさを損ねる場合があります。丁寧に焙煎を進めながらも酸味をできるだけ尖らせる意識が求められます。

ハイローストあたりですが、浅煎りの特徴である苦味の無さやナッツ感がきちんと出ているのに酸味が優しいというキャラクターになっています。ほうじ茶にコーヒーの豊かなコクを乗せたような感じで、酸っぱいのも苦いのも苦手という方にもおすすめです。